今時のカレンダーじゃあない、昔の暦とかいうのでの季節の区切り、
秋風が立ったぞという日を境に、
全国的に一気に鉄板級の夏めきを迎えた今年の真夏は、
尋常ならざる高気温・高湿度という、
殺す気かという暑さを連日お見舞いしてくれており。
毎日の定時のニュースでも、
ほぼ冒頭で必ず、今日がどれほど暑いか、
水分補給や冷房の利用を忘れずにという注意を、
それは盛んに警告し続けているくらい。
それでも倒れる人は続出したし、
途轍もない気温になったればの逆落とし、
急な大雨や雷で、中止になった催しも結構あって。

　「晩のイベントばっかなのは どーゆーことなのっ！」
　「いや、俺へ怒ってもな。」

夏休みの宿題の答え合わせ、
絵日記のうちのお天気の判らないトコと、
算数ドリルの難しいところを教えてと、
蛭魔さんチへやって来ていた小さなセナくんが。
この彼には珍しくも随分と憤慨しているのは、
一体 何故かと紐解けば。
暑い暑い最中の登校日とか、自由時間なしのプール教室とか、
植物園での写生会とか、町内会の草引きとかは、
そりゃあ良いお天気の中（…良いのか？アレ）、
どれもこれも予定通りに執り行われたのに。
町内会主催のお化け屋敷の会も、ご近所の神社の夜店も、
大川の盆踊りも花火大会も、
近隣で予定されてた宵祭りや催しは、
今のところ半分ほどが、急なにわか雨に遭って中止になっており。

　「つっても、ほとんど小っさいのばっかだろうが。」
　「だってさぁ…。」

お化け屋敷の会とやらは来週だったか仕切り直すそうだし、
大川の盆踊りと花火は明日へ順延されただけ。
神社の夜店も、確かに前半は降られたが、中止になった訳じゃない。

　「風邪ひくからお出掛けしちゃダメって、
　　お前が言われただけだろが。」

特に病弱という訳ではないながら、
小さな子供が雨の降る中、しかも夜の雑踏へ出掛けるなんて、
親としては止めて当然の配慮であろうから。

　「俺が焼きとうきび、
　　進と桜庭が わたあめとタコ焼きと持ってってやったの忘れたか。」

それは冷静に切り返されて、

　「う〜〜。///////」

だってだってと、大きなお眸々をむうと見張り、
下唇だけ突き出してたわませるところが、

　“まあなんて可愛い拗ね方だろうか♪”

これぞマスコットの鏡という愛らしさを発揮して、
むいむいと膨れていたものの、
それでは話も進まないとさすがに察したか。

　「だってサ…。」
　「んん？」

金髪の子悪魔様が 何だと問い返せば、
ぷくうと膨れたままながらも、小さなお声で続きを付け足す。

　「晩にお外に出ていいなんて、そういう時くらいしかないじゃない。」

それに、そういう時って、

　「進さんが来てくれるのばっかだし。//////」
　「まあ そうだわな。」

夜中に外出云々の部分は、微妙にセナくんとは一緒でない、
ちょっと大人の（ん？）子悪魔様ことヒル魔くんだが、

　“そか。何も遊びたくて言ってるワケじゃねぇんだな。”

夏ならではなイベントがことごとく中止なのへというよりも、
昼間は合宿じゃ練習じゃとアメフト優先となる、あの仁王様、
もとえ 進清十郎さんが、
晩のお出掛けへは、付き添いにと支障なく来てくれるので。
確実に逢えるという点でも、
セナにとっては飛びっきりのイベントであったらしく。
それでなくとも、
この酷暑で練習や合宿へご一緒出来なかったセナにすれば、
やっと会えると思っていたのに、
やっとお手々をつないでもらえると思っていたのにというの、
無残に踏みつぶされたようなものであり。
その残念感もただならぬ代物であったらしい点へは 同情するにしくはなく。

　「ま、とりあえず、
　　まずは明日にわか雨が降りませんようにって、
　　てるてる坊主でも作ろうや。」

　「うんっ！」

ボックスティシュに裁縫箱にと、
自由研究や工作とは別口の手作業への準備に取り掛かりつつ、

　“この顛末をレポートにして提出したら、
　　案外と姉崎せんせえ、ボーナスポイントくれねぇかな？”

こらこら、何を企んでいるかな？ 妖一くん。（笑）
夏休みもそろそろのカウントダウンを迎える頃合い。
すったもんだあった夏とも、あとちょっとのお付き合い。
ここまで来たんですもの、頑張って乗り切りましょうね？





　　　〜どさくさ・どっとはらい〜　13.08.19.

　　＊どんな我慢大会だというご挨拶で〆めましたが。（笑）
　　　ほんに この夏はお子様たちにも大変な暑さだったと思います。
　　　元気の塊のはずなおチビさんたちがはしゃぐ声、
　　　ウチのご近所でも、ほとんど聞かれませんでしたもの。
　　　早く虫の声のする秋になってほしいものです。

めーるふぉーむvv

or ＊